第五章
「開戦」
ミネルヴァは御父様の願い通りに地球からの信頼を得ることに成功。
今では地球側総督の緋浮美がしっかりとまとめている。
御父様も地球の情勢を変えていくために地球側にいた。
私はもう誰も戦争しなくてもよい平和な世界を早く実現させたい。
強者が弱者を支配する国家なんてあってはいけない。
全員が平等に暮らしていける世界を。
そのめたには・・・・・。
ひとりで考え事をしている私に副司令官であるリヒトが言葉を放つ。
「総督!!火星から多数の熱源反応!!」
「なんだと!!」
私は急いでレーダーモニターを覗き込んだ。
みると敵を示す赤い点が宇宙全体に広がっていた。
それは間違いなくこの人工惑星へと向かってきている。
「全軍!!急ぎ応戦準備!!ラディウス並びに艦隊をだせ!!」
「イエス!!マイロード!!」
私は急いでパイロットスーツに着替える。
その様子をみてリヒトが言う。
「……まさか総督自ら出陣するつもりか?」
「そのつもりです。」
私は即答した。
しかし副司令官としてはあまり私がでることはよく思っていないようだ。
「総督をなくせばこの星は総崩れするぞ。」
「違う!!総督自らが動かなくて何になる!!民衆の支持をうけるためには総督自らが動かなければならない。お父様のようにな。」
私は国のために自ら働くお父様を尊敬している。
だからこそ私が動かなければ。
「わかった。気をつけていってきなさい。私はここから支援する。」
「ありがとうございます。」
私はエレキとセリカが所属している第一艦隊に乗り込むことになった。
私のラディウス「デルタ」を乗せて艦隊は発進する。
宇宙にでて火星に進路をとっていると我が軍と火星はすでに戦争をしていた。
これだけの規模の戦争は第三次世界大戦以来になるだろう。
「……ついに戦争となったか。」
私は艦長席に座り窓の外を見ながらため息を漏らした。
多数のラディウスが待機している整備室に向けて私は艦内放送を流す。
『火星との交戦を確認。我が軍も交戦する。敵の艦隊は全部で七艦隊。すべてのラディウスは直ちに発進せよ!!』
私の支持通りすべてのラディウスが出動して火星との交戦が始まった。
「エレキ。」
「はい。何でしょうか?」
「私はデルタに乗って勝機を切り開いてくる。だからその間は君とセリカでこの艦隊を動かしてほしい。」
「し、しかし!!あなたは総督であり・・・・。」
私は窓の外の様子を見ながら答えた。
「だからこそだ。それにラディウスのシュミレーション訓練の点数は975点だった。
「・・・・・・わお。」
「おまえは全力で艦隊と我が星を護れ。」
「イエス。」
私は整備室へと急いだ。
私のラディウス。
通称「Dio-Delta」は私専用につくられた最新鋭のラディウスだ。
その動きは他のラディウスと比べて遥かにすごい。
OSとシステムを確認すると私はラディウスに乗り込んだ。
『総督。』
オペレーターの津軽の声がコックピット内に響く。
「どうした?」
『デルタのエナジーは約三時間しか持ちません。また、状況は多少我が軍の不利となっております。』
「・・・わかった。」
『それではデルタ。システム起動。起動率100%。デルタ発進可能!!』
全ての準備が整ったのを確認して私はデルタを発進させる。
「茶倉いきます!!」
こうして私は宇宙で戦いを展開することになった。
艦隊から射出された時にまず見えたのが敵の見事な陣営と敵の兵器だった。
この艦隊に向かってきている兵器もある。
「くっ!!こんな戦いに何の意味があるというのだ!!」
最近まで同じ地球人だった。
人間が火星人に付かれているだけ。
私はデルタを加速させて敵の兵器へと向かう。
「ビームサーベル装備完了!!全軍私に続け!!」
私は火星軍の兵器を切りつける。
戦いながら気が付いたことなのだが敵の兵器もラディウスのような精密兵器だった。
デルタの性能がいいから苦戦しなかったが確かにこれでは我が軍が不利になっても仕方がない。
しかし。私のラディウス一機あればなんとか打開できるかもしれないとも思えた。
「・・・いや。そんな考えは敗北を生む。」
私は適切な判断を見方へと告げる。
「敵の本体を叩く。D-54にある戦艦がそうだ。各自敵の兵器を叩きつつ慎重に本体を撃破せよ!!」
『イエス!!マイロード!!』
無線の向こうから聞こえてくる我が軍の声。
士気はまだまだ落ちていないようだ。
私はラディウスを先頭に移動させようとフットペダルを強く踏んだ。
そして我が軍の進むべき道を切り開くが如く剣を振り続けた。
津軽から無線が入る。
『敵の艦隊はあと三機。敵の80%を撃破済み。もう少しです。』
思ったよりも敵の鎮圧が楽に終わりそうだ。
敵もこうなってくると士気も低下しているだろうし軍の動きにも影響している。
「全軍!!一気にたため!!」
私が指示したそのときだった。
「!!」
敵の本体から突然今までの兵器とは違う兵器が姿を現した。
色は黒く熱量もかなり高い。
私はその機体をみて直感的に感じた。
この機体はやばい。
「全軍!!体勢を立て直せ。ここは将である私がでる!!」
『イエス!!』
我が軍が陣を立て直すのを何をするでもなく黒い兵器は見届けていた。
私は全ての軍が揃ったのを確認するとその物体の前へとデルタを発進させる。
そして通信を流した。
「こちら元日本国のミネルヴァである。我が名は総督の茶倉。貴殿に降伏を勧告する。」
黒い兵器からの返事はすぐにきた。
『私は火星軍に所属する紅蓮将軍のクレアである。降伏に応じる気はない。一騎打ちにてケリをつけようではないか。私が負ければ残りの軍は投降する。』
「・・・・・いいだろう。」
私が負ければお父様が地球にいる今ミネルヴァは崩壊してしまうだろう。
絶対に負けられない戦いだ。
私はサーベルとサーベルをつないで二つで一本に合体させた。
「いくぞ!!」
『こい!!』
宇宙の中でサーベル同士が激突する激しい音が鳴り響く。
それをみている両軍の兵がただそれを見ていた。
機械の性能はほぼ互角。
あのまま戦わせていたら我が軍のラディウスは全滅していたかもしれない。
怖いのは機体の肩の部分から撃たれる黒いビームだった。
幅も広くなかなかの質量だ。
あれに当たれば間違いなく大破する。
『なかなかやるではないか。しかし人間に負けるほど愚かではない。』
言うだけの事はある。
私の機体の性能では遠距離戦はかなり辛い。
しかし、私は構わずビームガンのトリガーを弾く。
あっさりと避ける敵将クレアの黒い機体。
このままではエナジーが持たない。
私は焦っていた。
フェイントをかけながらクレアの機体へと近づき攻撃をかける。
『どうした!!隙だらけだぞ!!』
「くっ!!」
私の攻撃を読みきっていたのかクレアは軽く攻撃をかわしていた。
私はデルタをすぐに操作しなおす。
しかし・・・・・・。
「エナジー切れ!!」
私のデルタのエナジーはもう残っていなかった。
クレアは私の機体の首の前でビームサーベルを止めた。
『貴殿の戦いぶりは尊敬に値する。だが私の勝ちだ。投降せよ。』
私は頭の中が真っ白になっていた。
私が負けた?
そんなバカな。
私は・・・・・・。
御父様を護ることさえもできないのか。
結果は絶望的。
もはや投降するか死を望むかしか残されていない。
私が負けた?
私が負けた!?
「私が負けたというのか!!」
私は情けないくらい声を張り上げていた。
涙がとまらない。
私が投降すれば御父様に牙を向けることになる。
だが私が死んでも御父様を悲しませてしまう。
しかし敵になるくらいならと死を望もうとしたその時だった。
【我は汝の心の奥に眠る者。ここで死なせるには惜しい存在だ。よって我が力を汝に授けよう。我と契約せよ。】
「・・・契約?」
【そうだ。ここで契約を結べばおまえは力を得ることになる。それは神に抗う力だ。我らの戦いに『エデン』を巻き込んでしまい悪かった。我が名はベルゼブブ。サタンに仕える魔界の軍師だ。】
「・・・。」
そんな話を急に信じることなど私にはできなかった。
だがこの声は一体何なのか。
直接頭の中に入ってくるような声。
そして何かに包まれたような感覚。
私は・・・・・・。
「どうせここで死んだ身だ。なら可能性を信じる!」
【我が器よ。心を開け。開眼せよ。茶倉よ。今日から私とおまえはひとつとなった。】
その時何かが私の中に流れてきた。
力の波動といったらいいのだろうか。
それは巨大な力であり明らかにこの世の摂理から外れている。
私は機体の起爆スイッチをおした。
激しい轟音とともにデルタが爆発する。
『なにっ!?』
激しい爆発にクレアは巻き込まれていた。
機体も打撃をうけて中破している。
黒い機体は爆発後の煙に包まれていた。
【敵はおまえが死んだと思って油断している。とどめをさせ。】
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
私は背中に生えていた羽を広げてクレアの機体を力を使って引き裂いた。
『うわぁぁぁぁぁぁっ!!』
機体が爆発する前にコックピットだけを救いその場から離れる。
私の変貌した姿をみて両軍が黙っていた。
私は自軍の兵士にコックピットを渡して敵兵へと発する。
「降伏しろ。しない場合は艦を沈める。」
予想外の逆転でこの戦争は我が軍の勝利となり捕虜となった敵の軍を連れて私たちはミネルヴァへと帰ったのだった。
艦に帰ってすぐに私は倒れた。
続く。