第四章

『ミネルヴァ国王』

「お嬢様!!お城の中でおとなしくしてくださいと言っているでしょうに!!」

「ふん、その言葉は聞き飽きたぞ。」

「いや、そうではなくて城にお戻りください!!」

「くどいぞ!!セムが反逆した今私が総督だ。おとなしく従ってもらおう。」

紫色の髪が特徴的な女。

貴族の服をまとっている事から皇族だということが伺える。

目は吊り目で性格もきつそうな女だ。

その女が門から出たところにはテレビ局の人間が大勢いた。

「・・・・・・いくら非常事態だからといってこのような方法が通るとでもおもっているのか!!全員処罰の対象にするぞ!!」

女がそうどなりつけると局の人間は一斉にだまった。

しかし、最前にいた男が野次馬根性で質問をしていた。

「無礼は承知しております。しかし、セム総理大臣が敵にまわってしまった今。この国は崩壊したも同然。あなた方の対応を国民はまっているのです!!国民のためを思う心がおありならば今ここで記者会見を要求します!!」

この言葉をきっかけに野次馬たちが勢いをのせていく。

いつの間にかすべての局が返答を要求していた。

「・・・・・鉄火。お前はどうすべきだと思う?」

「私はこの場で会見を済ませてもよろしいかと。」

「ふん。このまま私が黙っていれば国民が我々を疑う可能性もある。御姉様なら確かに形など問わないだろうな。」

女は一歩踏み出し局側が用意していたマイクを受け取った。

スピーカーの調整を局が済ませると女は生中継への準備を整えはじめた。

そして・・・・・・。

「我が国民たちよ!!セム総理が何者かに憑依され変わってしまった件については我々も聞いている。そこで我々は皇族を再編成することにした。我が名は緋浮美。今日からエクセンドラエリアをまとめる総督となる。」

その時、局の人間がざわつき始めた。

緋浮美も鉄火もこの事態はすでに予測済みだ。

「さわぐな。」

彼女の言葉で局側が黙る。

それを確認して彼女は続けた。

「王がいないではないかというのであろう?我らが新たな王はミネルヴァ国王であられる戒様だ。わが国は主をなくし崩壊した。そこを彼らが救ってくださるというのに我らが国を残すというのはあまりにも非礼というものだ。」

「ちょっ!!ちょっとまってください!!それでは地球連合は支配されたという事になるのですか!!」

さすがに反対派の声が募ってくる。

緋浮美にはこれを対処するだけの力がなかった。

なぜなら彼女は・・・・・・。

「支配ではない。私が作ろうとしているのは宗教や民族などで差別をしない国の結成だ。」

突然のその声は空の上から聞こえてきた。

皆が空を見上げると空には一機のヘリが留まっていた。

そのヘリが城へと降りてくる。

「あ、あれはミネルヴァの国旗!!」

「それにあの勲章は・・・・・・。」

「いや、だが自ら宇宙を渡って地球に戻ってくるなんて。」

局の人間が慌しくざわついてきた。

緋浮美はただ呆然とヘリをみているだけだった。

「・・・・・・なぜここに?何も聞いていないぞ。・・・・・・父上。」

その声はマイクを伝わって全局の人間。

そしてテレビをみている国民へと伝わってしまった。

予想外の展開に全国民がとんでもない反応をしたに違いない。

混乱の中で戒は緋浮美からマイクを取りにっこりと微笑むと真剣な顔をして国民に喋り始めた。

「国籍が日本ではない人は始めましてとなるかな?私は人工惑星ホープスミネルヴァ国王の戒である。心配しなくてもよい。私はセムとは古くからの友人だった。だが、その友人が地球を破壊していっているというではないか。相手がただ気が狂っただけなら始末するのは容易いことだ。だが、相手は火星人。すでにテレビで報道されているだろうが我々が調べた結果、火星人は実在する事がわかった。ついては、軍事的支配に巻き込まれる可能性があるため我々は地球に同盟を求めた。だが、連合は地球を我々に収めてほしいと願った。」

「そ、それは本当なのですか!!緋浮美様!!」

全員が緋浮美の方をみる。

彼女は我に返り別のマイクで返答する。

「本当だ。彼は私の父だ。だから知っていた。彼が何のために戦っているのかを。だから私は地球に残って父の知り合いであるセム総理の下に皇族として配属していただいたのだ。だがそのセムがいない今、しかも相手は何かわからない相手。それを相手に今の連合だけではムリがあったのだ。我々の国には戦車や核兵器などしかない。だが父は開発した。新たなる兵器。『ラディウス』を!!もはや我々が助かるにはそれ以外の道などないのだ。私はこの地球というエリアをまとめる総督にすぎない。全ての権利をミネルヴァ国王に一任する!!」

局の全ての人が元日本人というわけではない。

さすがに反対派もいる。

だがその場を戒はいとも簡単にまとめてみせた。

「私が日本人だから気にいにない?そうやって種族にこだわるからこそ地球はこうなったのだ。北極をみよ!!今の世界をみよ!!人間は自らの手で我らが住居を国を破壊したのだ!!このままでは取り返しが付かなくなる。一発でも核を落としてみろ。オゾンがさらに穴をあけることになるぞ。ならば私は二度と戦争がない世界を作りたい。これは人類にとっての最後の戦いなのだ!!差別のない帝国ではない世界を造ろうではないか!!」


地球への報道はこの後すぐに終わった。

戒の最後の発言で局は黙りほとんどの国民が戒を支持するようになった。

それも報道からたったの一週間しかたっていないのにである。


「・・・・・・御父様が地球をまとめられたそうだ。」

私は彩葉と紅茶を飲みながら呑気にチェスをしていた。

「そうですか。戒様は地球をどのようになさるおつもりでしょう。」

「御父様は地球をまた人が住めるように変えていくつもりなのだ。つまり我々はまたあの星へと帰れる日がくる。そこで予想外の火星からの戦争警告。これが御父様への支持に大きく関わったためあの御方は計画を早めることができた。あとはこのイレギュラーを排除するだけだ。」

私は意地の悪いところへと駒をおいてやった。

「あっ!!うう、酷いです。」

私は格好をつけて彩葉にいってやった。

「チェックメイトだ。」

彩葉はソファーにごろりと寝転がる。

そしてこう言った。

「・・・・・誰も死なない世界なんて夢でしかないのでしょうか?」

「正義というものは犠牲の上にあるものだ。御父様はその犠牲を最小にするようにいつも指示をしている。だが、人を殺めるというのは確かに辛いものがあるな。」

そう。

できれば私は戦争などしたくもなかった。

だが相手は火星人。

これは他の星からの明らかな侵略でしかなかった。

私が戦わないと人々が死ぬ。

父の夢も終わってしまう。

「ならば私は彼方を護る為にトリガーを弾いてやる!!」





続く!!